蒸し暑い日が続いていますね。
今回は、こんな蒸し暑さをヒンヤリさせてくれる
本当にあった怖い話をご紹介します。
タイトル 不気味な音。
あれは、そう何年前の事だろう。
ちょうどあの日も、今と重なる蒸し暑い梅雨時期の夜だった。
私は自宅の畳間で就寝中に、大きな音で目を覚ました。
ばぁん!!!
何かが炸裂するような異常な、大音響が静寂を引き裂き
私の耳に鋭く響いた。
私は布団を押しのけて、上半身を起こし
静まり返った室内を見回した。
何時もとなんら変わらない、私と妻が日夜生活している
6畳一間の畳間だ。
枕元に置いてある、アナログな目覚まし時計を片手で持ち上げ
時刻を確認すると、時刻は 午前 三時二十八分を指していた。
今の大きな音は何だ!
私は寝息を立てて眠っている、妻を揺り起こし
今の大きな音の事を話した。
妻は何も感じなかったそうだが・・・気になる。
別の部屋は、8畳のリビング、同じく8畳のキッチン
6畳の洋間が2部屋に、一般的な大きさのトイレと浴室。
子供は二人いるが、二人とも独立していて
別に暮らしている。
要するに、この自宅には私と妻の二人しかいないのだ。
それでも気になる私は、妻を畳間に一人残し
異変が無いかと各部屋を、照明を点けながら確認して廻った。
リビング・キッチン共ニ異常ナシ。
トイレ・浴室共ニ異常ナシ。
残るは、洋間2部屋。
長男が使っていた、洋間は異常ナシ。
長女が使っていた、一番奥の鏡台のある洋間は・・・
異常ナシ。
結局、何の異常もない。
ただ単に私が寝ぼけて、夢現の中 音が聞こえた
気がしただけなのか?
畳間に戻り、心配そうに私が戻ってくるのを
待っていてくれた妻に、なんも異常ナシ
大丈夫だよと報告して、朝日が昇るまで浅い眠りに就いた。
それが、始まりだとはその時思いもしていなかった。
それ以来、何の異変もなく私たちの月日は過ぎて行った。
私と妻は、共働きで日中は自宅に殆んど居ないが
たまたま、その日は妻の仕事の休日で
妻は今日1日を使い、溜まっていた家事を
済ませようと自宅で、テキパキと家事をこなしていた。
その日もちょうど、梅雨前線が沖縄本島を通過中で
外はあいにくの雨。
洗濯物も外に干せず、午前中は洗濯機をフル稼働して
コインランドリーで乾燥機を回し、大きなビニール袋を2袋分、
車で持ち帰ってきた所だった。
妻は壁掛けの何処にでもあるような、丸い時計に目を遣ると
正午をだいぶ過ぎ、午後 二時四十分。
妻は軽く食事を摂り、コインランドリーから持ち帰ってきた
ビニール袋をリビングにひっくり返し、衣類をタタミ始めた。
その時だった。
背後から、かすかに音が聞こえた。
親指で残りの四本の指を弾いて、木製の机に叩きつける様な
コ・コ・コ・コン
なんだろう?
妻は最初、その音を聞いた時はその程度にしか
思っていなかった。
洗濯物をタタミながら、妻は久しぶりの家事をした
疲れからか、外で激しく降り続く雨の音を聞きながら
ウトウトと心地いい睡魔に引き寄せられて行く。
そう感じた瞬間!!
ばばばん! ばぁん!!
耳を疑うほどの炸裂音が、響き渡った。
妻は慌てて、周囲を見渡して何も異常が無い事を
目で確認し、急いで玄関に向かいスリッパを引っかけ
住宅の外へ飛び出した。
住宅から7~8m離れた場所から、平屋建ての自宅の
屋上を見上げた。
何も無い。
妻はその時、直感で屋上に何かが落ちたと思ったらしい
何も落ちて来た気配の無い屋上を見ながら
よかったと思うと同時に、イヤナ感じがしたそうだ。
玄関から自宅の中へ戻ると、雨でびしょ濡れになったので
シャワーに入った。
シャワーの中で妻は、あの音の事を考えたが
自宅の中で、あの炸裂音のような音がするものは無い。
きっと、近所で住宅の改修工事などをやっていて
その工事現場で出た、騒音か何かだろうと思った。
シャワーを終え、体もサッパリするとジメジメ
ムシムシしていた感覚も消え、音の事も脳裏から
スッキリと消え失せた。
その日、私は晩御飯を妻と一緒に摂りながら
妻が、昼間にすごい音がしたんだけど
近所で工事か何かやっているのかしら?
すごい音だったんで、私 屋上に飛行機が落ちたのかと
思っちゃた なんて冗談を交え談笑したが
私は、あの日寝起きに聞こえた音の事など
すっかり記憶の隅に、追い遣っていたので
思い出す事もできなかった。
普段通りに世間話をしながら、お茶を啜り
明日は私の仕事が、休みの日だが何かやる事など無いか?
妻に尋ねると、たまの休みの日なんだから
ゆっくり休んだらいいんじゃないと言ってきた。
じゃあ、お言葉に甘えて明日はゆっくりと
自宅でゴロゴロさせてもらうよ。
今日は疲れたから、もう寝るよ オヤスミ
私はそう言って、寝室の畳間に引っ込んだ。
蒸し暑く寝苦しい夜だった。
私はお茶を飲みすぎたのか、尿意を感じて目が覚め
トイレに向かった、灯りを点け便器に向かうと
頭上から音がする。
コ・コ・コ・コン
用を済ませて灯りを消し、廊下を畳間へと
向かう途中でも、頭上から。
コ・コ・コ・コン
微かだが、先程と同じ音が聞こえた。
もしかして、天井裏でネズミが繁殖しているのでは?
明日は、休みなのでホームセンターにでも行って
駆除剤でも屋根裏に仕掛けてみるか。
そう考えながら、私は布団にもどった。
遂にその日が来た・・・
翌日 私は雨音で目覚めた、隣で眠っいるはずの妻はいない。
仕事に出かけたのだろう。
枕元に置いてある、目覚まし時計で時刻を確認すると
午前 八時五十一分。
何時もより、かなり遅い起床だが今日は休日なので
問題無い。
シャワーで汗を流して、キッチンに向かい
朝食の準備をしている時だった。
ばばばん! ばぁん!! ぼっ! ぼぅぅぅおん!
背後にある、リビングから凄さまじい衝撃音が鳴り響いた。
その刹那、リビングのほうに振り返り・・・・
私は見てしまった。
リビングの床に、普段 自宅では目にした事の無い。
人間の片腕ほどもある、それを・・・
私は見てしまった。
恐怖を感じながら、私はリビングに不自然にある
それに、恐る恐る近づいて行き
1mほど手前で動けなくなってしまった。
それの、真上の石膏でできた天井には
ポッカリと穴が開いている。
それは、天井裏から・・・
天井を突き破り、リビングの床に叩きつけられた。
私が頭の中で、そう理解した瞬間。
コ・コ・コ・コン
あの音が聞こえた。
ヤバイ!これは危ない!
身の危険を感じた私は、
パニックになりそうな思考の中で
あのチラシの事を思い出した。
昨日の新聞に折り込まれた、オレンジ色のチラシ。
そのチラシには、親しみ易い文言で
住まいの事ならなんでも、サポートホームにご相談ください。
私は、躊躇せずに電話の受話器を取り
チラシに書かれた、サポートホーム相談受付
フリーダイヤルに連絡した。
サポートホームという業者の所在地が近いと
いう事もあって、15分程で増改築相談員と名乗る
サポートホームの担当者が来てくれた。
私は、これまでの経緯を詳しく話したが・・
その担当者は、私にこう言った。
こういう事、よくありますよ。
私は耳を疑った。
こういう事、よくありますよ??
担当者が言うには、築30年程度から古ければ、古いほどに
この現象は起きているらしい、理由はいろいろ語られるが
簡単に説明すると、コンクリートが劣化してひび割れ
その隙間から、空気中の二酸化炭素が雨にとけ込んだり
酸素が内部に入るとコンクリートが中性化して
内部の鉄筋の発錆を招き、
鉄筋の発錆→鉄筋の膨張→コンクリート表面 の爆裂落下
となるそうです。
そうです。
私が、目にしたそれは。
天井裏から落下してきた、人間の片腕ほどある
コンクリートの塊だったのです。
私が、半信半疑で話を聞いていると
担当者は脚立梯子を立て、ポッカリ開いた
天井へと体を入れて、携帯しているライトで
天井裏の確認をしている。
無言で腰に掛けている、デジタルカメラを取り出すと
天井裏を撮影しはじめた。
担当者は脚立梯子から降りると、私にこう言った。
あまり驚かせたくないんですが、天井裏の現状確認として
撮影した画像見て頂けますか?
私は、はいと答え担当者が差し出すデジタルカメラの
画像を確認した。
それは、私の想像を超えていた。

天井裏には1個、5~6キロはあるかと思われる
コンクリートの塊で散乱していた。
担当者が言うには。
私たちが聞いた、コ・コ・コ・コンという音は
まだ、剥離落下していないコンクリートの周囲から
小さなコンクリート片が落下して
天井材に落ちる音らしい。
そして徐々に剥離が進行して大きな塊が落下すると
密閉された、天井裏という空間で
反響して、かなりの音がするそうです。
ばばばん! ばぁん!! は、その音だったんですね。
担当者の話を聞き、天井裏の状況を見せて頂き。
私はあらためて、恐怖を感じました。
あの落下した時、もし真下にいたら・・・
1個、5~6キロあるコンクリートの塊が
高さ2.5mはある、見えない天井裏からいきなり
頭上に、落下してきたら・・・・
もちろん、私はその場で対処処置を依頼したのは
言うまでもありません。 終
補足
この話は、お客様とのお話と実際に経験した事をもとに
怖い話として、怪談風に脚色したフィクションです。
最後に、何故だかハッキリとした理由はないですが
毎年、梅雨時期にはコンクリート剥離の問い合わせが
結構、多いのは事実です。


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